先日購入した雑誌に付いてきた小さなステッカー。「I love making mistakes」のメッセージが目に入り、いつか読んだ音楽家 高木正勝のエッセイ集に綴られたあるエピソードをふと思い出しました。
旅先のエチオピアで行動を共にしたガイドとのやりとりで、どうしても我慢できないことがひとつあったというのです。それは、目にするものひとつひとつに対して「これは何年に建てられた建物で、こういう出来事があって」と逐一説明が入ること。彼は、ガイドの度重なる説明に耳を傾けているうちに、人から与えられた情報ではなく、自分の心と体で感じた真新しい世界の感触をまずは味わってみたいと感じたといいます。つまり、「勘違い」させてほしいと。
「I love making mistakes」というメッセージにも同じような思いが込められているような気がしました(これも勘違いかもしれませんが)。すこしの間違いや勘違いの中に、まだ世の中になかった新しいアイデアの種が潜んでいるかもしれない。ちょっとしたバグが偶然大きな発見につながることだってあるかもしれません。それが正しいかどうかは一旦脇に置いておいて、ひとまず「私はどう感じているのか」に耳を傾けてみる。そこで感じたものを、そこから生まれるものを素直に受け止めて面白がることができるブランドでありたいと私たちも常々思っています。
「I love making mistakes」と書かれた小さなステッカーは、ノートパソコンの隅に居場所を得ました。