Information

All Information

[ Note ] 自分の感受性くらい

「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」

詩人・茨木のり子の言葉です。
近頃、この一節がふとした折に思い出されるようになりました。

日々のなかで、知らず知らずのうちに、どこか「求められる側」に寄っていく感覚があります。期待に応えること。それ自体は仕事において欠かせない態度です。ただ、その過程で、自分の輪郭がわずかに曖昧になっていく。そんな違和感を覚える瞬間も、確かにあります。

求められることに応えながらも、そこにどれだけ自分の実感が伴っているか。その行為を、どこまで自分のものとして引き受けられているか。この頃は、そのことに意識が向くようになりました。

たとえば、他人から見た「らしさ」というもの。こういう音楽を聴いていそう、こういう暮らしをしていそう。そうした像から少し外れることに、以前ほどの躊躇はなくなってきた気がします。それは、他人の期待を軽んじるということではなく、自分の感覚を、いったん自分の側に引き戻すということ。

この身体を通してしか、わたしは世界を受け取ることができません。他人の感受性を借りてくることはできないし、代わりに感じてもらうこともできない。だからこそ、どれほど不完全であっても、自分の感覚に対しては、誠実でありたいと思うのです。

自分の感受性くらい。
まずは、自分で認めてやることから。

それなりに年月を重ねたいま、ようやくそう思えるようになってきました。

Back to List