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[ Note ] 鶴橋のもつ鍋屋と、静かな自由

用があって、大阪鶴橋を訪れました。
これまでほとんど足を運んだことのない街。土地勘もまったくありません。すこし時間をつぶさないといけなくなったので、あてもなく歩いていると、高架下に明かりの灯ったもつ鍋屋を見つけます。

ガラス越しに店内を覗くと、アルコールを片手に、もつ鍋を囲みながら、(おそらく)とりとめのない話に花を咲かせている人たち。まだオープン間もない時間帯だというのに、店はすでに賑わっています。
ちょうど日が落ちはじめ、冬らしいしっかりとした寒さを感じはじめた頃合い。自身の嗅覚を信じ、半ば吸い込まれるように、店の中へ入りました。

あつあつのもつ鍋に、マッコリを少々。ぷりぷりとした新鮮なホルモンに、鶴橋の商店街で仕入れたであろう本場の韓国キムチ。どんどん箸が進みます。最後に、老舗の製麺所から仕入れたというこだわりの中華麺を鍋に投入。あっという間に鍋が空っぽに。思いがけず、心も体も満たされる時間となりました。

事前に飲食店の評価サイトで調べ、評判の店を選ぶという方法も、もちろんありました。すこし検索すれば、もっと評価の高い店はあったのでしょう。けれど、この「思いがけず、いい店に出会えた」という感覚は、そうした選択からは、なかなか得られません。

誰かの言葉や評価に寄りかからず、自身の直感と判断に従ってみること。たとえその選択が「最良」でも「正解」でもなかったとしても、そこから得られるのは、思ったより豊かなものなのかもしれません。

自分の感覚で立つことはすこし心許なくもあり、同時に、静かな自由でもあるのだと思います。

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じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある

(『倚りかからず』茨木のり子)

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