「征服されざる者」を意味する「adamas(アダマス)」を語源にもつダイヤモンド。そのカッティング技術は中世ヨーロッパで大きく花開く。ホリデーシーズン限定コレクション『選べるダイヤモンド』では、16世紀に考案されたものから近年開発されたものまで、今季限定を含め5つの特別なダイヤモンドをセレクト。カッティングごとにその歴史と特徴を紐解きます。
TYPE01:ローズカット|ろうそくの灯のもとで生まれた輝き
掲載アイテム: Rosecut Diamond Combi Ring
電灯が発明される以前、人々がまだろうそくの灯りで夜を過ごしていた16世紀はじめに考案されたのが、ローズカットダイヤモンド。当時のヨーロッパでは、夜会と呼ばれるパーティーが毎夜のように開かれ、貴族たちが集い、音楽が鳴り、舞踏会が催され、バレエやオペラ、芝居に興じました。
ろうそくの灯りのもとで幻想的な輝きを放つことから、ローズカットダイヤモンドは夜会に集う王族や貴族の間でたちまち人気を獲得していきます。控え目ながらも上品で奥ゆかしいきらめきは人々の心を魅了しました。
ローズカットが考案された当時、光の屈折率や分散を利用した現代的な輝きはまだ発見されていません。夜会に集まった王族や貴族たちを魅了したのは、シンチレーション(鏡面反射)と呼ばれるダイヤモンドの表面に施されたカット面に光が反射して生まれる輝き。
できるだけたくさんの光を反射できるよう、ローズカットダイヤの表面は三角の面ですべて覆われています。現在主流となっているブリリアントカットダイヤモンドとは趣きの異なる、控えめで奥ゆかしい、うるうるとした輝きを生み出します。
TYPE02:エメラルドカット|希少な存在
掲載アイテム: Emeraldcut Diamond Combi Ring
ダイヤモンド加工創成期にあたる16世紀頃、もともと欠けやすかったコロンビア産エメラルドに用いられたカットがダイヤモンドに応用されることに。エメラルドカットは平面部分が大きく、インクルージョンやキズ、汚れが含まれていると目立ってしまうため、質のよいダイヤモンドしか使われません。その数はダイヤモンド全体の2%にも満たないと言われています。
美しさのポイントは、素材のよさからくる透明度と姿かたちのよさ。ローズカットダイヤモンドと同様、シンチレーション(鏡面反射)と呼ばれるダイヤモンドの表面に施されたカット面に光が反射して生まれる輝きは、落ち着いた品格のある佇まいを生み出します。
TYPE03:ラウンドブリリアントカット|スタンダードにして最高峰
掲載アイテム: Diamond Combi Ring
17世紀ヴェネツィアで発明されたと言われるラウンドブリリアントカット。その後、電灯の発明により世界が明るくなったことで、より一層強く美しい輝きを求める機運が高まります。
20世紀に入り、ダイヤモンドカッターであり数学博士でもあったマーセル・トルコフスキーによって、光の法則と数学的知見が用いられ、もっとも美しく釣り合いのとれた輝きと七色の分散光を放つのに適したダイヤモンドのかたちが理論的に導き出されます。現在でも代表的なダイヤモンドカッティングとして広く流通している、58のカット面を有するラウンドブリリアントカットダイヤモンドの登場です。
トルコフスキーによって導き出されたダイヤモンドの輝きを生む要素は大きく3つ。「七色の分散光(=ディスパージョン)」、「ダイヤモンドの内部での反射が生む強い輝き(ブリリアンス)」、「動きに合わせてダイヤモンドの表面で生まれるきらめき(=シンチレーション)」。これらがバランスよく重なり合うことでダイヤモンドならではのきらきらとした輝きが生み出されます。
TYPE04:プリンセスカット|進化したブリリアントカット
掲載アイテム: Princesscut Diamond Combi Ring
1970年代後半に登場した比較的新しいカットであるプリンセスカット。ラウンドブリリアントカットのスクエアバージョンと言えばわかりやすいかもしれません。その美しさとネーミングのよさが重なり、20世紀後半にもっとも成功したカットとなります。
76ものファセット面を有し、四方の角に伸びる細やかなモザイク模様が一際強い輝きを生み出します。その美しく強い輝きが際立つよう、厚みのあるかたちに仕立てられます。
TYPE05:クッションカット|ブリリアントカットの原点
掲載アイテム: Cushioncut BrownDiamond Combi Ring
今季限定で登場したクッションカットダイヤモンド。その名は、丸みを帯びたスクエアシェイプがクッションを想起させるところに由来。研磨によって生まれる規律正しい直線のなかに曲線の丸みが加わることで優美な印象を与えます。
18世紀に確立されたブリリアントカットはクッションシェイプをしていました。当時は、希少なダイヤモンドの原石をいかに目減りを抑えてカッティングできるかを第一に考え、原石のかたちに沿ってできるだけ切断を加えない研磨方法が採用されていたのです。
その後、20世紀に入り理論的・数学的計算に基づいた輝きを最大限に引き出すカット方法が確立される頃まで、およそ2世紀にわたってダイヤモンドカットの主流であり続けました。まさにブリリアントカットの原点とも言えるカッティングです。
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中世以降、ヨーロッパを中心に花開くダイヤモンド研磨の世界。16世紀に考案されたアンティークな輝きを放つ「ローズカット」から現在カッティングのスタンダードとなっている「ラウンドブリリアントカット」まで。これまでにさまざまなカットが考案されてきました。コレクション『選べるダイヤモンド』では今季限定を含め、それぞれ異なるカットが施された5つの特別なダイヤモンドをお届けします。