親から子へ贈られる、小さなリング。後編では、そのリングを迎え入れるパッケージについてお話しします。手にしたとき、ご家族の時間がそっと立ち上がるような佇まいを目指しました。
家族の大切な思い出をつめこんで
ベビーリングのデザインを進めるにあたり、お客様へアンケートをお願いしたところ、「生まれた時間や身長、体重を刻めたらうれしい」という声が多く寄せられました。お母さんにとって、これらの数字はただの情報ではなく、かけがえのない記憶そのものであることをあらためて感じることができたのは収穫でした。
はじめに検討したのは、ベビーリングへの刻印入れ。リングはとても小さく、入れられる文字数にも限りがあります。そこで、赤ちゃんにまつわると別な数字を刻んだ記念プレートを、リングとセットでお届けするかたちにたどり着きました。これが、cobaco for baby オリジナルのプレートのはじまりです。
せっかくなら、もっとご家族の心に寄り添うものに。そう考え、誕生月カラーの石を一石添えることにしました。求めていたかたちがすこしずつ輪郭をもち始めます。

ヨーロッパのクレヨンボックスをヒントに

次は、ベビーリングを収めるボックス。ヒントになったのは、ヨーロッパのクレヨンボックスでした。スライド式の蓋は、子どもでも開けやすく、どこかあどけない可愛らしさがあります。
素材には桐箱を選びました。温度や湿度に強く、防虫・抗菌性にも優れていて、へその緒の保管などにも用いられるものだから、大切な記念品を家族の時間とともに長く守ってくれます。
リングやプレートを収める台紙には、厚紙にレーヨン繊維を植毛したウーペという植毛紙を。赤ちゃんのほっぺに触れたときのようなふわふわとした気持ちのよいさわり心地です。
※2021年5月より、より肌触りのよいスエード調生地を使用しています。

台紙の下にはメッセージカードを忍ばせました。イラストは、ACジャパンのCM『やさしさは、想像力でひろがる』などを手がけるアニメーション作家・和田淳さんによるもの。赤ちゃんの輪郭は、cobaco の “c” をかたどっています。

ベビーリングにこめた願いやわが子への想いをしたためることができるメッセージカード。 いつかお子さまと一緒に読み返したとき、当時の景色や気持ちが静かによみがえりますように。
小さな輪の連なりに願いをこめて

ようやく、ベビーリングとマザーリングが完成。「dots」シリーズのベビーリングは、小さな輪が連なり生まれるデザイン。家族のつながりや、これからの人生がなめらかに続いていくようにという願いをこめています。トップには、直径約2mmの誕生石を一石。

マザーリングは、日々の暮らしに寄り添うため、しっかりとした厚みと強度をもたせました。お子さんを抱き上げるときに爪が肌に触れないよう、「ふせこみ」という技法を採用。マリッジリングのように、気負わず毎日身につけられる存在でありたいと考えました。

性別問わず贈りやすいデザインを

「dots」シリーズの発表後、性別問わず贈りやすいデザインを──そんな思いから生まれたのが「matte」シリーズです。つや消しの質感とフラットなフォルムが特徴で、落ち着いた印象に仕上げました。子どもの幸せを願う気持ちはそのままに、よりさまざまな家族の物語に寄り添えるラインナップとなっています。
家族のきずなをひとつの箱に

「dots」シリーズのセット例

「matte」シリーズのセット例(※こちらのベビーリングデザインは現在販売しておりません)

仕上げに、ベビーのイラストをあしらった巻き紙で桐箱を包み、リボンで留めてお届けします。
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本コラムでは、前編・後編にわたって、ベビーリング制作の舞台裏を取り上げました。
ベビーリングが届くまでの時間、パッケージを開封する瞬間、身につけている時間、いつか手渡すその時まで──さまざまな家族のきずなが紡がれていくことを願っています。







